近年、印刷に関する技術が急激に向上し、これまでの印刷工程と大幅に異なるプロセスが登場することで価格破壊と最小単位に対する発想がかなりかわってきています。これまで冊子印刷といえば、すべてのページに版下を作成し、割付をして面付けごとに製版をし刷版を作って印刷をし、裁断、製本を行うという工程を行ってきました。しかし最近ではパソコンで版下を作り、そのままデジタルのデータとして入稿することが殆どです。また印刷にはプリンタを大型・高性能化させたことにより、ほとんどコピーのような感覚で印刷ができるようになりました。これによりごく少部数の印刷にも対応できるようになったのです。一般的にはこれをオンディマンド印刷と呼ぶようになっています。デジタル印刷はもはや印刷業界の主流になろうとしており、ビジネス自体が大きく変わってきているのです。

したがって冊子印刷にかかる時間もこれまでとは比べものにならないぐらい早くなり、こうしてプロセスで制作した本は簡単に少ない部数から印刷・納品できるようになっています。特に本の出版でいいますと、最近では電子出版を主体に原稿制作を実施し、顧客からの紙本での納品ニーズがあるときに必要部数をオンディマンドで印刷して納品するという方法まで登場しており、ネット書店で販売されている本でも受注してから印刷・製本してほんの2~3日で発送するという脅威の短縮プロセスによるビジネスモデルが既に登場し機能しはじめているのです。したがって、ひと昔まえなら小・中学校のクラスで本を作るとか大学の部活動で冊子をまとめるといったことは、時間とコストがかかりすぎてなかなか実現できなかったのですが、いまでは実に簡単に、しかも昔とは比べ物にならないぐらい安い価格で実現ができるようになっています。あるコンビニ系のネット書店では、好きなアイドルの写真の中から気に入ったものだけをピックアップして独自の写真集をつくれるといったサービスが登場し話題を呼んでいます。掲載する写真もある程度拡大してセレクションしておくことにより顧客の趣味と好みによって独自に選択して一冊しかない写真集に仕上るという夢のようなことが現実にできるようになっているのです。

しかしまだまだ一般社会では冊子印刷の概念は昔のイメージが強く、そこまでフレキシブルになっていると認識されていないのが実情です。この事実がさらに広く認識されると、冊子印刷の領域にも、もっと大きなビジネスチャンスがめぐってくるようになるのではないでしょうか。